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2015.05.26.Tue | -
ヘイデースの花嫁(仮題): 本編その1〜5 by karicoboことヴァル
 
本編第一弾。
その1を投稿したところからten-monさんが参戦してくださいました。
チャットで相談しながら世界設定を作っていく。

この先もどこに転がるやら。



 
karicobo のコメント2008-10-29 15:00:34 :
《本編・その1:浮島探検》

 1週間。1週間自由だ。父さんは1週間の予定で衛星ドーム都市・ペルセフォネに下りていった。ステーションと衛星を結ぶ転送ゲートを開設するためだ。開設されれば、いちいち着陸船やコンテナ・ポッドに乗らなくても、人間をエネルギー化して瞬時に運ぶことができるようになるらしい。どういう原理かって? 俺に聞かないでよ。俺は父さんみたいな天才物理学者じゃないんだから。父さんは俺の年には、博士号を5つくらい持って研究所で働いていたらしい。俺は学校でも落第組。もらわれっ子かと疑いたくなるところだが、父さんの子供の頃の写真を見ると、笑っちゃいたくなるくらい俺と瓜二つ。俺は三つ子の末っ子なんだけど、父さんを入れて四つ子じゃないのかってぐらいそっくりだ。

 シンとリンはさんざん悩んだ挙句、イドラに残った。世話しているルパという家畜の調教が佳境に入っているからだ。秋祭りの野駆け競争で優勝をねらっているのだ。俺は予選落ち。父さんは可愛そうに思ったのか、俺だけステーションに連れて来てくれたのだ。ただし、うるさい見張り付き。

「ケン! うろちょろしないでよ。だいたいキョロキョロしてみっともないわ。田舎者丸出しよ」
「イズミだって田舎者だろ? イドラを出たの、初めてのくせに」
「それでも、あんたみたいにキョトキョトしないわよ。まったく。博士が危険なところにいってるっていうのに、よく気楽に物見遊山できるものだわ」
「別に危険じゃないよ。ただ脅迫状が来ただけじゃん。何か新しい技術を入れるとき、必ず反対するヤツがいるんだよ。何が”神を畏れよ”だ。バッカじゃねえの」

 本当はケンとイズミも、博士と一緒に衛星に下りるはずだった。ところが件の脅迫状のせいで、2人はセキュリティが万全のステーションに留守番することになったのだ。

「どうせ口ばっかりだよ。実際に何か手出しする度胸なんかないんだ」
「それにしても。留守番もまともにできないと、後でシンとリンに笑われるわよ?」

 こんな風に口ゲンカをしながらステーションを見物していれば、1週間はあっという間に過ぎる、そう思っていた。
 でも、それは予想外に長い、1週間になってしまった。


コメント2008-11-01 13:08:24 : karicobo
《本編・その2:邂逅》

 2日めにしてイズミはグロッキーだった。
 ここは空がない。土がない。風が吹かない。水が流れない。
 いたるところに偽装空間がつくられ、空や森が投影されているが、そんなもの何の意味もない。そんなもの、ほんものの空気を作ってくれない。イズミのパワーになってくれない。

 そして、人。人、人、人。大量の人間が、自分の目的地だけを目指して通り過ぎてゆく。イズミはひとところに高密度に押し込まれた人間が、自分の空間を守るためにバリアーを作ることを知らなかった。だから、ステーションを通過する旅客たちが、みんな仮面をかぶっているように見えてゾッとした。
 ここには生きている人がいない。触れる人がいない。会話できる人間がいない。

 ケンは、これまでにも何度か父親とワルキューレ・ステーション経由で、惑星ミラの大学都市に行ったことがあった。もちろんこんな大きなステーションは初めての経験だが、モニターもトークンも使いこなせる。初めての自由に興奮気味のケンは、お目付け役の女の子が、実は初めての人工空間で心細いのだ、などと全く気がつかずに、さっさとまいて置いてきぼりにしてしまった。

 エスカレーターを降りた途端、イズミはとんでもない広いラウンジで、人の波に飲み込まれた。もう自分がどこから来たかわからない。どっちが上か下かもわからない。押し流されるように、中央案内モニターの前まで来たイズミは、大きな金色の小山にぶつかった。

 それは、まるでエネルギーの塊のようだった。温かい。大きい。やさしい。金色の日差しに鮮やかな緑。

 この場所は安全だ……そう思った途端、イズミは金髪に緑の瞳の大男のふくらはぎにしがみついて、大声で泣き出してしまった。

 karicoboのコメント 2008-11-01 13:30:40 : 
《本編・その3:迷子たち》

「なあ、コレ、何だと思う?」
 デュランは困惑気味に、自分の足にしがみついてぎゃんぎゃん鳴いている小さな動物を見下ろした。顔は人間みたいだが、たれ耳うさぎのように長い耳、身長と同じくらいの長さのふさふさしたしっぽ。巨大なリスか? 
「誰かのペットかな?」
 ナハトはしゃがみこんで、その動物のふかふかした耳の間の銀色の毛をなでてみた。
「どうした? 迷子か?」

「迷子じゃないもん!」
 返事が返ってきて、デュランもナハトも腰を抜かした。
「しゃべった!」
「迷子じゃないもん。でもケンがいないの。空が見えないの。幽霊みたいな人ばかりなの」
 動物がまた泣き出したので、デュランは本能的にそれを腕に抱き上げるとあやし始めた。
「わかったわかった。一緒に探してやるよ。そのケンとやらを」


 一方イズミのパニックは、SOS信号としてケンにも届いていた。ケンは能力者ではないが、生まれたときからイズミと一緒にいるせいで、イズミの思念波には感受性が強いのだ。
中央ラウンジには、その時ざっと600人ほどの人間がいたが、イズミがどこにいるか、ケンにはすぐにわかった。まっすぐに走っていくと……イズミが大男に捕まっている!

「こら! でかブツ! イズミを放せ!」
 ケンは思い切り、大男の向こう脛を蹴飛ばした。急所は決まったはずなのに、大男はびくともしない。悠々と片手でケンを捕まえて、自分の頭よりも高く吊り下げた。
「ほう。もう1匹増えたぞ」
「俺なんか食ってもうまくないぞ! イズミをどうするつもりだ!」
 3m近い高さに吊り上げられても、ケンは平気で大男に噛み付いた。
「どうするつもり、はこっちのセリフだ!」
 デュランは大声を出した。
「こんな場所で、女の子をひとりで放り出して、どこをうろちょろしてた。お前は、それでも男か!」

 ケンはぽかんとして、暴れるのをやめた。
 ナハトもぽかんとして、デュランに抱っこされている動物をまじまじと見直した。
「女の子? これが?」

  karicobo のコメント 2008-11-01 14:02:26 :
《本編・その4:ガイダンス》

 4人はお互いに自己紹介をした。

 どうやら、本気で迷子だったのはデュランとナハトの方だったらしい。
「ゲートなんとかで招待されたんだが…」
「ああ。ゲート・フェスのゲストなのか」
 ケンは納得した。
 このステーションのワーム・ホール・ゲートは、銀河連邦紀元50年の創設祭に開かれたので、紀元節には毎年、銀河中から数百人の人々が招かれる。その招待基準が『宇宙旅行に馴染みのない人』なもんだから、この時期、ステーションは大量の”田舎者” で埋まるわけだ。

「ここの一つ前のターミナルで、添乗員とはぐれてさ」
「チケットとパスはあったから、ここまで来たものの」
 2人ともこの広大なステーションで路頭に迷っていたわけだ。
「ゲスト・トークンがあるだろ? いつまで有効?」
 ケンに聞かれても、2人は何のことかわからない。
「コインみたいな丸いもの、もらわなかった?」
「これのことか?」
 2人はシャツの下から、鎖で下げたメダルを引っ張り出した。
「それそれ。ちょっと貸して。こうやって見るんだ」

 ケンは、ナハトのトークンを受け取ると、中央案内モニターに近づいた。
「そうそう。これ、案内掲示板って書いてあるのに、ただの柱なんだよ」
 デュランがぼやいた。
「省エネ・タイプだからね。必要なときだけ、必要な情報を表示するんだ」
 ケンが、柱にある8つの穴を指差した。
「ここにトークンを当てる。同時に8人が情報を引き出せるわけ」

 ナハトもデュランもすぐにモニターの使い方を覚えた。
「なるほど。このトークンもパスも1週間有効なんだな」
「トークンの残額850ギネス」
「それってどのくらいなんだ?」
「1回の食事でたっぷり食べても5ギネスくらいだ」
 そう説明した後、ケンはデュランをじっと見て訂正した。
「あんただと、10くらい食うかも」
「ずいぶん特典の多いトークンね」
 ステーション内のすべての娯楽施設、宿泊施設が無料、ステーションから1回乗り換えで行けるすべてのフェリーやポッドが無料。
「銀河回廊公団、張り込んだなあ」
 ケンは感心した。しかし、ゲストの大半がこの2人のようなレベルだと、おそらくその特典の半分も使いこなせないのだろう。太っ腹だという実績だけ残って、実際には腹が痛まないわけである。
「猫に小判ってヤツだな」
「何か言ったか?」
 ナハトが聞き返した。
「何でもない、何でもない。それよりメシに行こうよ。ここに来てから何も食ってないんだろ?」
「ああ。腹ペコだ」
「あっ。じゃあ、おいしいぽにょぽにょの店があるのよ?」
「また、ぽにょぽにょ?」
「何だそれ?」
「何でもいい。早く食いに行こう」

 こうして、4人の珍道中が始まってしまった。 

karicoboのコメント 2008-11-01 14:09:00 : 
勝手に動かしちゃいましたけど、こんなものでいいでしょうか?
このメンツだと、デュランが3人の子守りみたいになっちゃうな。

年上のお姉さんとか増えると、ナハトの魅力が有効になるのかな?

『ぽにょぽにょ』がどんな食べ物かは想像にお任せ。
踊り食いがうまいらしいです。

 tem-mon のコメント 2008-11-01 22:35:07 :
ありがとうございます!!
自分のキャラが他の人に書かれていると、なにやらとても不思議な感じ。
恥ずかしいというかくすぐったいと言いますか(苦笑)
でも、ありがとうございます。
ナハトはまだぎこちないけど、デュランはもうそのまんまちゃんとキャラを理解してくれていて動かして頂けて、笑顔になりました。
嬉しかったです。
わあい、キャラクターがちゃんと生きている!
これは、お礼にちゃんと来週あたり書かないといけないですね。
ちゃんとkaricoboさんのキャラを理解して書ければいいのですが。
・・・って、「karicoboさんのキャラ」を理解してどうする?!
karicoboさんのキャラのキャラ(笑)
すみません、ボケ体質で(^^;)


karicobo のコメント 2008-11-01 22:40:32 : 
じゃあ、4人組の晩御飯は、『きゃらきゃら丼』で。

2人ともうちにはいないタイプのキャラなので、動かすのが楽しいです。
さて、これからどう転がるかなー。

 karicoboのコメント 2008-11-12 11:33:58 : 
《本編・その5:タンデム・ラビリンス》


 ナハトの背後をデュランが守っていた。
 真っ暗闇の中、無数の光が周囲を蠢いている。

 すーっと流れる小さな黄色い光は ”ジャッジ・フライ”。無機質な目で戦況を観察しているイヤな虫だ。
 2つ対で動く赤い光・・・これが敵だ。

「ナハト、頭上に一体、お前の右に2体。それから・・・左、8時の方向に3体だ」
「オッケー。どういう順番でやる?」
 2人の足は鉄の枷で繋がれている。ナハトの左足首と、デュランの右足首の間を30cmの鎖が結んでいるのだ。正に二人三脚でしか移動できない。でも、この2人にとってはお手の物だった。
「多分、頭上のヤツが先鋒で来る。そいつの来襲を合図に・・・時計回り」
「わかった。ディー。オレの分、残しといてよ」
 黒髪の少年の言葉に、大男が思わず微笑む。
「もちろんだ」
 お互いに、背中を預けるのにこれほど安心できる相手はいない。

 読みは当たった。
 上から降ってきたヤツは、大上段にソードを構えすぎて胴体ががら空きだ。まず、こいつをデュランが真っ二つ。同時に右の2体とナハトが切り結ぶ。よろけた1体をデュランが吹っ飛ばした。
「ナハト、右に90度回れ」
 答えず、少年はネコ科の獣のようなしなやかな動きで回転しながら、その勢いで敵を切り捨てた。すぐに後方3体の動きを把握して、動き出す。2人で1人のような連携だ。振り返りざま、ナハトが1体、デュランが2体、なぎ払った。
「まだ動くぞ」
「もうー、ディーったら木偶相手に手加減するなよ」
「悪い。つい・・・」
 ギギ・・・と鈍い動きで起き上がったものの、アーマーの中で赤い光が点って、その瞬間2人の方に跳びかかって来た。
「はい、お終い」
 バッティング練習のように、余裕で頭部にスィングを入れてやった。

 途端に、辺りが明るくなって、ファンファーレが鳴った。
「GAME OVER。最高得点、198点です」
 女神のような声が降って来る。
「2点減点は、ムダなおしゃべりの分です」
 合成にしては、人格デザインのはっきりした声に女教師風の色が現れる。
「それと、勢い余って施設を損壊させた分です」


 頭上の窓から、子供が2人ぴょこんとのぞいた。
「もうーっ、始まってたった2分14秒。ヒマつぶしにもなんないじゃん」
「でも、またトークンのポイントが増えたわね」

 ステーションのあちこちに設置されたインフォメーションや、キオスクの立体映像やヴァーチャルガイダンスに2人がびびるものだから、荒療治でゲーム・センターに連れてきたのだ。3Dウォリアーを30人ほど吹っ飛ばした結果、ディーとナハトは、理屈ではなく感覚で納得したらしい。

「1842点。50点で1ギネス換算ですって。ワッフル食べに行こうよ」
「俺は、あのジェラートとかいうのがいいな」
 大男の発言に、体格的には半分くらいに見える黒髪の少年がため息をつく。
「もう、ディーったら昨日からいくつめ? 全フレーバーを網羅するつもり?」
 ナハトだって決して小柄な方ではないが、まだ細い骨格の少年の言葉に、大男が身を縮ませる様子が愉快だ。
「そうだな。まだ、パプリカとエッグ・プラントを食べてないもんな」
 ケンが自慢の記憶力で、デュランをからかう。
「うえっ、ナス味のアイス・クリーム。ディー、本気でそんなもん食べたいの?」
「いや、俺は……ゴーヤー・クラッシュにシークワーサー・スピリッツをトッピングするつもりだ」
「……また、売り子のお姉さんが困惑するところが目に浮かぶようだわね」
 イズミのこまっしゃくれたセリフに、少年2人も同意する。
「行こう。アイス・クリーム・スタンドにワッフルもあっただろ? オレはオレンジ・フロートにしよう」
 ナハトが自分の要望を覚えていてくれたので、イズミはうれしかった。気取らないしゃべり方をしているが、王子様ってこんな感じじゃないだろうか。グループ全体への配慮や、身のこなしに気品がある。王者の風格だ。ケンとは大違いだわ。
「俺、アイス・チョコレートにココア・クルーラー!」
「ケン。またムシ歯が悪化するわよ?」
 もうっ、ホントに大違い。いつまでもお子様なんだから。イズミはため息をついた。

 

  *** + *** + *** + *** + *** + *** + *** + *** + ***


何か、未来にタイム・トリップした18世紀の人間に、現代文明を案内している感じで・・・でも、適応してそうですね。
 ナハト、こんな感じでいいかな?
 浅黒い肌の砂漠の王子様というイメージなのですが・・・。
 

 

  <tem-mon のコメント 2008-11-12 20:26:56 :>
karicoboさん、ありがとうございます!
書くのが遅れてすみません。
ナハトもデュランも、自分で書いたみたいに理解してもらっているみたいで、とっても嬉しいです!!
そうそう、ナハト、長なだけあって意外に気配り上手なんですよ!
気取らないし。
肌は、浅黒さと赤さがミックスした赤黒系です。
二人の連携が完璧なのが嬉しいです(^^)

2009.07.27.Mon 22:39 | リレー小説
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2015.05.26.Tue | -

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