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2015.05.26.Tue | -
ヘイデースの花嫁(仮題): 本編9〜10+キャラ紹介その2 by karicobo
JUGEMテーマ:自作小説
 
キャラが増えてきたぞう。
そして衛星の方の話。ちょっとカラーが変わりますね。





karicoboのコメント 2008-12-02 19:33:28 : 
《キャラクター設定その6》

 イリーナ・ニコラエヴナ・チャイコフスカヤ(15歳・女性)

  ロシア系の天才少女。物理博士。愛称;イーラチカ。
  むぎわら色の髪、瞳は緑。そばかすを気にしている、やせっぽちの女の子。8歳から研究機関で働いているので、普通の子供らしい生活に憧れている。
  量子化ゲートプロジェクトの主任研究員。上司のハイリネンを尊敬し、慕っている。


 タルヴィッキ・マイヤ・ハイリネン(28歳・女性)

  フィンランド系の北欧美人。密かに”ペルセフォネのフレイヤ”と呼ばれている。
 パール・グレイの豊かな巻き毛に空色の瞳。
  工学博士で、ゲート・プロジェクトの要である、量子化装置チームの室長である。生まれ育ったペルセフォネの開発が進み、急速に変貌していく状況を憂慮している。

 karicoboのコメント 2008-12-03 13:08:19 : 
《本編・その9:ヘイデースの花嫁》

 さて、少し時間を遡ろう。
 
 ケンとイズミをヴェガ・ステーションに置いて、ジンは衛星ペルセフォネに下りるコンテナ船の中にいた。

 日本では”織姫”の星として七夕に祀られているヴェガは、100以上の惑星をかかえる大きな太陽系を形作っている。まだ若い活発な太陽だ。惑星の多くは木星のようなガス型惑星だが、それぞれ多くの衛星を抱えていて、これがまた地球より大きな天体だったりする。
 太陽系で外惑星の開発拠点が、木星や土星の衛星に作られたのと同様、ヴェガ系でもまず手ごろな衛星が目をつけられた。それがペルセフォネである。

 ペルセフォネは、ヴェガ系第8惑星ヘイデースの衛星のひとつ。火星ほどの質量で、重力も0.4Gしかない。大気がうすく、藍藻類のような原始的な生物さえ確認できなかったことから、とりあえず開発拠点に選ばれた。昨今は惑星開発アセスメントが厳しいのだ。宇宙開発は、自然保護団体や原理主義教団ほか、さまざまな主張をもつテロリズムとの闘いの歴史でもある。
 そうまでして……多大な犠牲を払ってまで、どうして人類は宇宙を目指すんだろうな……資源開発、人口爆発、環境問題……最もらしくいろいろ言われているが、単に……見てみたかったのかもしれない。まだ見ぬ地平を。新しいフロンティアを。

「好奇心、猫を殺す…・・・か」
「ムトウ博士?」
 いつの間にか、声に出していたらしい。ジンのつぶやきに、向かいに座っていたノトスがモニターから顔を上げた。
「いや、すまん。何でもない。あと30分ってところかい?」
 モニターをのぞき込んだジンに、ノトスは低い誠実な声で言った。
「本当に申し訳ありません。こんな形でお迎えすることになって。市長は、VIP専用のリムジン・シャトルで華々しくお迎えする計画を立てていらしたんですが……」
「わははっ。そんなのまっぴらごめんだ。この格好でレッド・カーペットに下りろと言うのかい?」
 ジンは、いくら洗っても油染みの抜けない、最早もともと何色だったか判別できないつなぎの胸を叩いた。肩にはよれよれで、あんまり防寒の役に立たなそうなエアフォース・ジャケットを羽織っている。フードの周りを縁取る合成毛皮ははげちょろけだった。
「そんで、フラッシュに囲まれた途端にズドンッなんてごめんだよ」
「申し訳ありません」

 安全のために、ジンの着陸は極秘で行われることになった。
 郵政局のコンテナ船でペルセフォネ大気圏まで下り、コンテナ船にはそのまま首都ナルキッソスまで飛んでもらう。ジンとノトスは、その800キロ手前でポッドに移って研究都市グレナーデに下りるのである。

「君が謝ることないさ。ノトスくん、君はグレナーデで何の仕事をしているんだい?」
 6フィートを越す長身ながら温和なものごしの青年に、ジンはたずねた。
「保父さん……かな?」
「保父さん!?」
「グレナーデに着いたらわかりますよ。シンクタンクは10歳前後の天才少年少女ばかりで、ほとんど保育園です。僕は研究所員の安全を守るSPですが……クララ姫の専属なんです」
 ジンはにやりと笑った。その状況はよくわかっている。ここ10世紀余り、科学の最先端を担っているのは30歳以下の若い頭脳だ。ジン自身も9歳で博士号を5つ持ち、複数のプロジェクトで研究費をぶんどって病身の母親を支え続けた。……頭でっかちなガキだったよな、あの頃は。
「イーラチカのお守りだな?」
「ええ。イーラチカと不思議の国を旅する”くるみ割り人形”なんですよ」
 青年はにこっと笑った。
 


 karicobo のコメント 2008-12-03 18:27:01 :
《本編・その10:約束の石榴(グレネーデ)》

 2人の乗ったボール型の着陸ポッドは、誘導信号に乗ってゆっくりとパラボラ形のポートに吸い込まれた。何の衝撃もないなめらかなランディング。さすが、0.4Gである。
「ムトウ博士、何か身体に変調は? 頭痛や吐き気などありませんか?」
 ノトスがヘルメットの無線で聞いてくる。
「大丈夫。ポッドには慣れているんだ。シャトルより楽なぐらいだよ」
「念のため、このまま30分ほどチャンバーにいていただきます」
 年寄り扱いされているな、とジンは苦笑した。圧縮空気を20分吸っただけで、減圧室送りとは。確かに、高齢ほど減圧症を起こしやすいものだが。スペース・スーツを着る前ならともかく、脱ぐ前にねえ。
 研究都市グレネーデの発着ポートは建物全体が、圧力調節のできるチャンバーになっている。コンテナやポッドで着陸した乗客は、シートに座ったまま、環境順化を受けることができるのだ。
「すみません。しかし、普段地球型惑星で自然大気の中で暮らしている方の中には、ペルセフォネに下りた途端さまざまな障害を訴えるかたも多いので……市の条例で30分のチャンバー滞在が義務づけられているんですよ。まあ、健康診断だと思って、そのまま身体を楽になさっていてください」
 ポッドに乗り込む前に着せられたスーツには、さまざまなメディカル・センサーが取り付けられている。体温、心拍数、血圧、血中酸素濃度……連続的にモニターされて、医師のお墨付きをもらって初めてこの星に迎えられるわけだ。高熱、喘鳴のある客はさらに検疫ルームに送られて、血液検査となる。厳重なものだ。

 まあ、退屈はしなかった。
 ポッドの壁面に投影されていた観光ムービーが、ぱっと切り替わってそばかすだらけの明るい少女の笑顔が現れた。
「ダディ・ジン! ペルセフォネにようこそ! ノトス、お迎えありがとうねっ」
 むぎわら色の髪を2本の三つ編にして、瞳の色と同じ緑のリボンで止めてある。
「イーラチカ、久しぶりだ。大きくなったなあ。もうイーラチカ(子供に呼びかける愛称)じゃ失礼かな、イーラさん?」
「やだ。イーラチカと呼んでください。このナルキッソスで私のことをそう呼んでくれるのは、今まで2人だけだったんですから」

 少女は、イリーナ・ニコラエヴナ・チャイコフスカヤ。15歳の物理博士で、研究都市ナルキッソスのれっきとした主任研究員である。8歳で親元を離れて、このドーム都市のシンク・タンク入りしたせいか、普通の少年少女の生活にあこがれているらしい。必要以上に、年齢相応の言動を装っている気がする。こんな事態じゃなかったら、ケンやイズミと引き合わせてやれたのに。いい友人になっただろう。

 初めてイリーナに出会ったのは、確か5年前。木星の衛星イオで行われた宇宙物理の国際シンポジウムの会場だった。ジンの講演に対して、思わず舌を巻くような鋭いコメントを寄こしたのだ。おかげで、いささか膠着状態だった転送システムの研究が一気に展開した。翌年には、連名で論文を出した。ジンが辺境の惑星イドラに住んでいるせいでなかなか会えないが、モニターを通じて頻繁にディスカッションしている。特に、イリーナが『量子化ゲート開発プロジェクト』にかむようになってからは、3日と空けず会話している。4年前に連名で出した論文がきっかけで、このプロジェクトが始まったからだ。ジンはイドラを長期間離れたくなかったので、プロジェクト・チームに入る誘いを断った。お詫びにスーパーバイザーとして名を連ね、こうして今回初めて現地に赴いたというわけだ。

「ハイリネン博士は…?」
 チームの室長についてたずねた。
「はい。タリーは、博士が着いたらすぐお見せできるように、デモンストレーションの準備をしています」

 ジンは思わず身震いした。いよいよ、だ。
 元々は自分が細々と発表した理論に過ぎなかった。30年前でさえ、単なるSFだと笑われた。理論を展開し、システムを構築し、設計図もひいた。それでも、自分自身がいちばん信じていなかった。人間をエネルギー化して転送し、離れた場所で再構成する転送装置……まさかこんなものが、本当にできるなんて。

「タリーはよく、ダディ・ジンのことを ”ゼフィロス” と呼んでいるんですよ?」
 モニターのイリーナがにっこり笑った。ゼフィロスはギリシャ神話の西風の精だ。虹の精イリスを妻とし、春を呼び、豊穣を約束する西風の化身。確かに俺の妻は、イリスだが……。ジンはちょっと赤面して、いつののように頭をボリボリかきたくなった。だが、スペース・スーツのヘルメットがジャマしてかけなかった。
「”ゼフィロスが来て、ペルセフォネにもようやく春がやってくる”って」

 テロリストに狙われ、面倒臭い減圧チャンバーに歓迎された西風は、ようやく冥府の王ヘイデースの妻、ペルセフォネに会う……。 

 

 <karicoboのコメント 2008-12-03 18:54:05 :  >
何だか……ムダにSF設定に凝ってしまいました。
転送装置に減圧チャンバー……減圧障害の知識とかは古いかもしれませんが……せっかく宇宙空間なので、飛行機みたいにちゃらっと降り立つのももったいないか、と面倒臭い手続きをしてもらうことにしました。
西暦でいうと5000年くらいの未来のつもりなので、その頃はもう、ちゃらっと降りられるのかも。

衛星ペルセフォネの名前は、以前、別の話でヴェガ・ステーション最寄のドーム都市として使ったものを、転用しました。
今回、初めてペルセフォネが巡っている惑星の名前や、ドーム都市の名前なんかも決めました。みんなギリシャ神話ネタです。

ヘイデースは、ゼウスの兄で冥界をつかさどる地底の神。たらしのゼウスやポセイドンとちがって、ひっきーでおたっきーなヘイデースにはなかなか彼女ができない。そこで、ゼウスにアドヴァイスしてもらい、美しい水仙(ナルキッソス)の花の群れで誘って、ペルセフォネを拉致監禁してしまったのである。
ペルセフォネの母、大地母神デメーテールは嘆き悲しみ、老婆の姿に身をやつして娘を探し歩いた。その間、大地は冬が続き、穀物の実りもなかった。
困ったゼウスはヘルメースを遣わし、ペルセフォネを母の元に返すよう命じた。愛する娘を取り戻したデメーテールは喜び、再び世界に春がやって来た。
ところが、ペロセフォネは地上に戻るとき、ヘイデースにもたされた石榴を食べてしまった。冥府の食べ物をひとくちでも口にしたものは、また冥府に帰らなければならない掟だった。というわけで、その後、ペルセフォネは地上と地底を行き来する存在となった。地上にいる間、大地は芽吹き実りを結ぶ。ペルセフォネがヘイデースの元に返ると、冬になる。これが『季節』の始まりなのじゃよ……どっとはらい。

ちなみに、根暗なヘイデースですが、ペルセフォネの意思を尊重し丁重に扱ったので、なかなか幸せな結婚生活らしいです。しょっちゅう、公にどうどうと実家に帰ってごろごろできるし。しかし、拉致監禁はいかんよ、いかん。
(何というか、ギリシャ版”電車男”ですよね。いろんな応援があって、ヘイデースが彼女をGETするまでのお話)


イリーナちゃんの苗字、チャイコフスカヤはバレエ音楽で有名なチャイコフスキーの女性形です。というわけで、ちょろっと、”くるみ割り人形”ネタを持ち込んでしまいました。 

 <tem-mon のコメント 2008-12-03 21:36:45 : >
設定、凝ってますねえ。凄く面白いです。
SFは大好きな上に神話系は大好物です。
しかし、どこまでも日本神話と似てるなあ。
どっちがどっちと言うわけでなく、太古に一つのでかい神話があって、それが世界に流布していたとかなのかなあ。それをそれぞれの地方の昔の話として伝えたとか。
それで一本話が書けそうだ(笑)

いつも書く量が少なくてすみません。
今のところ二人で書いてるのに、2:1で三分の一以下しか書いてない・・・
申し訳ないです。
しかも続きは、旅行と発表が連続するので12月中盤以降になりそうで・・・ほんっとーにすみません(汗)
ちゃんと書きますので、書きますので。


 <karicoboのコメント 2008-12-04 13:55:14 :  >
そんなに謝らないでくださいよ、tem-monさん。
まるで、私が鬼編集長みたいじゃないですか(汗)。

みなさん、この企画は名前の通り、”ゆるゆるリレー”ですから怖くないですようっ。
気軽に参加してくださいねっ。

sinさんに教えていただいたのですが……PBMというゲームがあるそうですね。
今はウェブに席巻されて下火だけど、要はみんなでアイデアを出し合ってゲーム世界を動かし、マスターと呼ばれる作家がまとめて文章にしていく。
筒井康孝さんが、新聞連載でそういうことをやっていらっしゃいました。つまり、読者が参加できる連載小説。

そういう形なら参加しやすいのでは……というアドバイスをsinさんにいただいたわけです。どうでしょう? とりあえず、今、私とtem-monさんがマスターということで、こんなこともやってみたら? とか、このキャラこう動かしたいとか、そんなコメントも歓迎いたします。

愛妻家のジンが、タルヴィッキさんによろめいたり? みたいなアイデアもtem-monさんから出ていましたが……とりあえず、このむさいオッサンじゃ絵にならないので保留。
ノトスの方がきっと、いい男だよ、タリー。

 <るりのん のコメント 2008-12-04 15:36:03 : >
自分がやっている創作系SNSでコミュでワールドシェアリングやってたりしますw
この間イベントが終わったので現在小休止というかまったり期間ですw

リレー小説で懸念してしまうのが
・時系列
・矛盾
が気になって筆がのろくなっちゃうあたりですね。
なのでパラレル・時系列無視OKで世界観設定をかなりゆるくしたつもりなんですが
やっぱり企画主のやりたい方向とか模索される方が多くて、難しいものだなーと思いました。


<コメント2008-12-04 22:48:06 : karicobo >
るりのんさん、コメントありがとうございます。

私も別件でも合作というか競作をやっています。
みんなで設定を作って、キャラを持ち寄って……仲間内二次創作のノリですね。
でも、やっぱりいろいろと難しいです。

長続きさせようと、みんなで”ゆるーく、ゆるーく”を合言葉に、煮詰まりそうになると仕切りなおしをして、それでも設定魔が複数いるために、油断するとぎちぎちに濃い筋立てになって、誰も動けなくなってしまう……。

一番難しいのは、人のキャラの扱い方でしょうか。
それぞれ思いいれのあるキャラクターですから、「こんなこと、うちのアルは言わない!」みたいなこだわりはあるわけです。
最初、文章を全員に回して、地の文まで直しっこしていましたけど、それもツライ。

結局、チャットやブログでさんざんディスカッションした上で、他人のキャラについてはあくまで”感想文”か”ファンレター”のつもりで書く。書かれた方も、そういうつもりで寛容に謙虚に受け取る。
……そんな感じでしょうか。難しいですよねえ。

 
<tem-mon のコメント 2008-12-04 23:33:03 : >
ですね、人のキャラを預かるのは難しいです。
どうしても、これで良いのか?との葛藤がある。
今のところ、karicoboさんはうちのキャラを上手く大切に扱ってくれていて、大満足です。
いつもありがとうございます。


 <るりのんのコメント  2008-12-05 09:43:40 :> 
うちは、あくまでも「お借りするキャラクターの行動」は書いてもいいけど
「何を思ってそういう行動をとった」のかは描かない、という方法でやっていました。
そうすればキャラクターの持ち主があとで自分で補完することができますので〜


 <karicoboのコメント  2008-12-05 13:55:31 :  >
>tem-monさん

デュランが大好きで、デュランと冒険したい!という下心からtem-monさんを誘った私としましては、今の状況はむふふふふーという感じなのです。
でも、ナハトが難しい! うちにはこんなノーブルな王子さまがいない!
つい、ぞんざいな口調になってしまって、反省、反省。修行させていただきます。


>るりのんさん

そういう線引きが大事ですよね。でも、なかなか難しいですー。

今、よそでやっている合作は、魔道師、剣、ドラゴンがばんばん出てくるファンタジーなんですが……それぞれのキャラが抱えているトラウマを解決して、みんなで運命を切り拓こう的な……新たな出会いによって、自分の中の闇に向き合うことができて、敵も倒せたみたいな……友情と恋愛要素の強いお話なんですよ。
何を考えているか、その心理がわからないと、一歩も動けない。

なので、キャラ同士がケンカしちゃうと、親同士もちょっと微妙な緊張感が生まれちゃったりします。リスキーですが、発見もあります。
『おまえって、実は臆病なとこあるよな』とか言われると、そのキャラの親がガアアーン。こいつのこの行動は、臆病なせいだったのかあ、と気付いたりするわけです。

結局、子供たちが安心してケンカして、解決策を見つけるためには、親同士がケンカしないこと、が肝要みたいです。親同士の信頼関係というか……心理的距離、でしょうか?
大人数のグループ創作になると、この関係を緊密かつ良好に保つのは、なかなか難しいですねえ。

2009.07.27.Mon 23:20 | リレー小説
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2015.05.26.Tue | -

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