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2015.05.26.Tue | -
ヘイデースの花嫁(仮題): その15 by karicoboことヴァル
いやあ、私の番だと短いですねえー。
背景解説というか世界観紹介というか……。
好きなんですよ、タリー。幸せになって欲しいなあ。



 

JUGEMテーマ:自作小説

 

 karicoboのコメント 2009-02-26 15:55:25 : 
《本編・その15:春の祭典》


「いよいよだわ……」
 エナジャイザーの前でタリーは身震いをする。しかし、研究所のメンバーは誰も、タリーの静かな興奮に気付いていない。鉄面皮、冷酷無比、氷の女、メドゥーサ、200年前のアーマロイド……本人の耳に届いただけでも、これだけの異名がとどろいているのである。中でも”200年前のアーマロイド”というのは中々のホメ言葉ではないかと思う。当時は人間の”理想”をこめて”美しく・賢く・強い”アンドロイドが作られたからだ。最近では人間臭さを追求するあまり、盛り場で管を巻いて暴れる酔っ払いを逮捕してみたらアンドロイドだった、なんて珍事件もある。

(何と言われてもかまわない。私はこの日のために生きてきたのだもの)
 タリーの両親は、ステーションからこの星へコンテナで着陸しようとして……死んだ。ごく初歩の誘導電波のミスだった。テラ・フォーミングが進んで、衛星の大気が濃くなるほど、着陸事故は増える。その時、タリーはたった7歳だった。幸い、IQが高かったのでシンクタンクに入れられ、そのままペルセフォネーで育って今に至る。

 未だにこの星の大気は、スーツ無しで歩けるほどではない。ようやく、若い太陽ヴェガの放射線を30%弱遮断できるほどの薄い大気しかない。それでも。

 それでも、大きな変化だった。私達にとっても、星にとっても。
 この衛星に生物が生息していないことは確認済みだ。だからこそ、大規模なテラ・フォーミングが許可されたのだ。それでも……人類の持ち込んだ酸素のために、この星の地表は数十年で真っ赤になった。豊富な鉄分が酸化鉄として沈殿したためだ。地表の鉄が酸化しつくされない限り、大気に酸素は増えない。オゾン層もできない。
 とはいえ、二酸化炭素主体の大気層のおかげで、太陽電池で発電した熱でなく、ヴェガの”日光”をそのまま利用して作物栽培ができるようになった。水槽では魚を養殖できるようになった。それで一気に、ペルセフォネーが養うことのできる人口が増えたのである。

 この数十年、ペルセフォネーは激変した。
 地表の色が変わり、空の色が変わり、人が増え、町が育った。

 現在の急務は、着陸事故を減らすこと。
 そのための転送ゲート。そして、私はその研究室長。

 もし成功すれば、さらにこの星が変わるだろう。私のように……事故のせいで苦しむ人間が減るはずだ。研究施設や軍関係の特殊な人間のためだけの星じゃなくなる。本当の人々の生活が、ここで始まるはずだ。それまでは……何と呼ばれようとかまわない。メドゥーサだとうとアーマロイドだろうと。

 でも……タリーは幾分の感傷を捨てきれないでいる。幼い頃両親と見たペルセフォネーの風景……一日中、何の曇りもなく全天の星が見え、日向と日陰の温度差が200度以上あった、あの容赦ない世界。青黒く金属光沢のある地表。か弱い人間を拒絶した大地。
 あのペルセフォネーも美しかった。私達は、自分の利益のために取り返しの付かない変化をもたらしてしまったのではないだろうか。 


「室長、実験準備完了しました。オール・グリーンです」
「了解。そのまま待機。ドクター・ムトーの到着を待ちましょう」
「イエス・マーム」

 もう後戻りはできない。私達はこの容赦ない星で生き延びなくては。たとえ何を犠牲にしようと。だって私達はすでに、この春の女神を目覚めさせるために十分生け贄を捧げてきた。私の両親も。私の青春も。誰にも邪魔させない。

 タリーはきっとバリア・フィールドの向うで輝くヴェガをにらみつけた。
 生き延びてみせる。



< karicobo のコメント 2009-02-26 16:04:13 :>
ええと……いきなり雰囲気変わりましたが、ナハトやイズミの出てくる同じ作品ですよう。
”鉄の女”タリーのモノローグ章でございます。

惑星改造の理屈があっているかよくわからないけど、イメージでわかってください。

タリーvs.石エイリアン って構図になりそうだが、タリーも生粋のペロセフォネリアン(……長いな)ですから、共存可能なはず。
みんな仲良くハッピーなエンディングになるといいなあ。


< tem-mon のコメント 2009-02-27 12:10:18 : >
karicoboさん、更新ありがとうございます。
おぉ・・・そういう背景でしたか。人物のキャラが立ってきましたね。


来月と再来月で自分の担当分三つほど更新したら、ようやくステーション偏が一旦修了するはずです。
一旦、主人公勢含めて四つ巴になって、最終的には、二つの軸の対立となる予定です。
和解となるか、破壊となるか、はたまた別離となるのか。
誘われて参加しましたが、設定で凝ってしまったので、ちゃんと最後まで書いていこうと思っています。
よろしくです。



2009.07.28.Tue 00:10 | リレー小説
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2015.05.26.Tue | -

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