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2015.05.26.Tue | -
ヘイデースの花嫁(仮題): 本編その16〜21 by tem-monさん
JUGEMテーマ:自作小説
 

怒涛のtem-monさんターン! すげえ!
わ、私も書かなくっちゃ! 
ドキドキ……私、もうただの読者です。




 
2009-03-25 05:50:18     tem-mon
《本編・その16:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)5》


「こっちの棟の人たちは、あらかた避難し終えたみたいね」
 イズミだった。年の割りに少し小柄な、大人しくしていれば大人しそうに見える可愛らしい少女が、組みをして少年に指示を出している。仁王立ちだ。
「そ、そうだね……ハアハア……」
「そっちは確認大丈夫? ナハトさんたちが信用してくれて任せてくれたんだから、ちゃあんと責任もってしないといけないわよね!」
 腕組みをといて両脇を締め、こぶしを握って宣言する。見た目はとことん可愛らしい。動きと台詞以外は。
 ……最後動いたの、ほぼ俺だけだったじゃないか。最初はともかく。
 見た目に紛らわされない少年が、息を切らしながらもため息をついてつぶやいた。
「何か言いたい事があるかしらケン?」
「無い無い無いよ、めっそうも無い」
 全力でケンは横に首を振る。
 勝てないケンカはしない主義だ。情けないけど、女性は怒らせないに限るのだ。普段の父親の対処法は、きっちりと息子にも受け継がれていた。
 子供はちゃあんとしっかり見ている。
「……ねえ、ケン」
 あさっての方を見て首を振っていたケンは、イズミの少しだけ途方にくれたような声で振り返った。
「どうしたの……イズミ?」
 大丈夫? いきなりテンションを下げた年上の友人に、心配そうに声をかける。
「あの仮面の男の人、どうなったかしら……」
 小さい声でつぶやく言葉が、かろうじてケンの耳に入っていた。
「そりゃあ……」
 当たり障りのない、当たり前の事を言おうとして、ケンは言葉に詰まる。
 その言葉が、そういう意味ではないと分かったからだ。
 あの、イズミに伝わってきたという、心の音色の事を言っているのだろう。
 イズミの隠れた優しさが発現していることに、ケンは気づいていた。
 たまに、彼女はものすごく優しい心を強力に発揮する。彼女がテレパスであることに深く起因しているのだろう。その優しさにケンも何度も助けられた。他にも大勢助けられた人がいる。彼女は気付いていないだろうけど。
けれど、それは強さであり、時として同時に弱さでもある。
「ねえ、イズミ。今回は、……あの仮面の人は、敵、なんだよ」
 イズミを傷つけないように、慎重にケンは答える。
「……分かってるわよ、そんなこと……」
 拗ねたように片足を揺すりながら、背中を壁に預け不機嫌な声でイズミは口を尖らせる。
「イズミの言いたい事は分かるよ。もしかしたらさ、いや、きっとあの人は優しい人なんだと思う。すごく、綺麗な音だったんだろ? こんな出会いじゃなかったら、きっとイズミと心を通わせられたかもしれない。でも……あの人は、今悪い事をしようとしてるんだよ」
「分かってる」
「今は、できることをやるしかないし……」
「分かってるの」
「成り行きでも仕事は仕事だし、それに、多分今はもう、ナハトさんたちと戦闘に入っている可能性がきっと高い。いまさら行っても、もう……だったらさ……」
「分かってるっていってるでしょ!!」
 ビクッ。ケンは体を震わせて口を閉じた。
「……ごめん」
 ケンの悲しそうな目を見て、イズミはすぐに謝った。
 そう、ケンは悪くない。ケンが悪いわけじゃないのだ。彼は、心から心配して言ってくれている。
「ううん……俺こそ、ごめん……言いすぎた」
 ケンは優しかった。いつものことだ。キツイ言葉を口にしても、ケンはちゃんと分かってくれる。イズミですら時々それに甘えたくなる。けれど、今は。
「そうね、今は、やれる事をやるしかないものね。頼まれたこと、ちゃんとやらなきゃ」
 今は、考えるのはよそうと思った。今は甘えていい時ではないのだから。
 でも、もしあの人にもう一度会えたなら。
「がんばろう」
 小さく口の中でつぶやいた。聞いてみたいと思った。
 一瞬だけ見ただけで心に残るあの綺麗な音を発する心に、理由を。
 教えてほしいのだと。伝えてみたい。ただの犯罪者としてだけで見たくなかった。
 それに、普通の人間では無さそうだった。なぜかそれは確信できた。
 どのように普通じゃないかは、まだ分からないけど。
 あの人と理解を深め合えられるのは、もしかしたら今この場所では自分だけなのかも知れないと感じたから。テレパスである自分が今この場所にいる意味を考えた。
 分かりあえたなら。もしかしたら。
 友達になれるかもしれない。まだ、遅くないかもしれない。
 取り返しがつかなくなる前に。
「なれたら、いいな……」
 ケンに聞こえないようにつぶやいた後、
「さあまだ仕事、残ってるわよ! 次行こ、ケン。さっさと割り当て終わらせちゃいましょ!」
 イズミは笑顔で、元気よく声をかけた。


「鳳 經理(マネージャー、支配人の意)、作戦開始時刻5分前になりました。われら琳姉妹、冬緑(トンリュー)、翠緑(ツイリュー)、ともに準備できております」
 切れ長の瞳をした中華美人が二人、鳳支配人の前に跪いていた。二人とも長い髪を後ろで双結いに束ねている。背は少し違うが、似た雰囲気の二人だった。二人とも、細い目を小さな顔に乗せたまま、スリットの切れ目の深い紅のチャイナドレスをまとって、膝をついて見つめている。
「なんなりと、仰せを」
 少しだけ背の高い方の美人が、顔を上げて言葉をつむいだ。
 鳳 紅雷(ファン ホンレイ)が自然体でたたずんだまま静かにうなずいたのを見て、もう一人の、妹の方も口を開く。
「經理。それでこれから、わたしたち何すればいいね?」
 なんでも命令してくれていい。そういう不敵な目を向けていた。
「頼もしいですね」
 ふふ。緑色の男性チャイナに着替えた男は、これまた実は長かった後ろ髪を束ねて服の中から出した後、眼鏡を外し小さく歪めた口元から引きつったような笑みの呼気をもらす。
「あなた方には、これから怪物退治を手伝っていただきます」
 細い糸目がその歪み方を深くした。
「怪物、ですか?」
 姉の冬緑が、流暢な母国語で質問する。
「ええ、化け物ですよ。見た目は人間に見えるかもしれませんがね。少なくとも、彼は人間じゃない」
「ほ〜〜、それは楽しみね」
 腕がなるね。そう言って、より目が細い方、妹の翠緑が小さく舌なめずりをしてつぶやいた。殺気とも圧力とも言えない、深いプレッシャーが小柄な体から滲み出る。どこからか見えない場所で、鋭い金属の擦り合う音が響いていた。
「殺せばいいね?」
 嬉しそうに言う。
「できますか? 相手は人間じゃあありませんよ?」
「心外ね」
 不敵な笑顔が凄みを増した。
「たとえ僵屍(キョンシー)だろうと、われら姉妹に殺せぬやからは存在しないね」
 姉妹の笑顔が深まった。鳳支配人も満足そうに貼り付けたような笑顔を強くする。
「それは僥倖。しかし残念ながら、今回は捕獲が任務です。ですが、強敵ですよ。彼は……ですからね。その部分に注意して、存分に力を発揮して仕留めてくださいね」
 肝心な部分の空気の震えが、三人以外の誰にも届かないまま霧散していき。
 殺さなければ何をしても大丈夫ですから。
 その一言で、三人の笑顔が最大にまで変化した。扉を開ける。
「さ、では参りましょうか。前哨戦の係の方たちが、敵を弱らせていてくれるはずです。戦っている相手がどのような相手かも、何もご存知無いままで、ね」
 ふ、ふふふ、ふふ。
 心底楽しそうに三人が扉をくぐる。その雰囲気は、とても最高級ホテルの支配人の一行には見えなかった。暗いプレッシャーそのものが形を成して移動していた。
 キィィ。コマ送りの様に、微かな軋みを立ててマホガニーの重厚な扉がゆっくりと閉まりゆく。
 閉じた扉の向こう側へ、静かな嬌声がくぐり抜け、途切れたように消えていった。
2009-03-25 05:51:52    このコメントを削除する

tem-mon

《本編・その16−2:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)5−2》


「雄ォオオオオオオオオッ!!」
 獣の雄たけびそのものだった。全身のバネで飛び出したデュランの体は、たった一歩で8mの距離を瞬時に消した。
 燃えないはずの不燃絨毯が焦げた匂いを微かに発し、押しのけられた閉じた空間の空気が一気に動いて風を起した。
(やっぱり凄い! ディーの全力は見てるだけでこっちまで気持ちいいっ)
 目を輝かせたナハトが見守る中、一秒と経たない内に敵の懐に肉薄する。
 武器を持たない剣士のこぶしが相手の腹にめり込んだ! と、寸前で男の全身が残像を残して消え去る。
 この廊下からは逃げられないはず。本能で瞬時に悟る。デュランは全力で横へ飛び、左のこぶしを見えない場所へ振りきった。
 短距離テレポートで出現した仮面男の体がくの字に折れた。出現したと同時に、『気配とカン』で出現場所を特定したデュランの拳がめり込んでいた。
『………ッッ』
声にならない男の呼気が悲痛に漏れた。気絶するように崩れ落ちる。
そして……ピクリとも動かなくなった。
「え?」「な……に……?!」
 二人の戸惑いが白けた空間に満ちていく。
 男は動かない。完全に気絶している。耐久力が異常に低かった。最後の刹那、デュランが力を僅かに抜かなかったら、死んでいたかもしれない。
 まるで、一般人以下の筋肉だった。
 怪訝しい。この男のプレッシャーは、気配は、こんな弱い人間の気配ではあり得なかった。先ほどの動きを見ただけでも、尋常な能力ではないのが分かる。なのに。
「どういう、ことなのかな、ディー……?」
 ナハトが近づいて声を掛ける。全力のデュランをほとんど見ることが出来なかった悔しささえ、湧いてくる違和感に押されて心の奥に押し戻されていく。
「……分からん。だが……」
 そう、仕事は終わった。これで、良いはずだ。この男の目的は判らなかったままだが、それでもその阻止はできたはずだ。
 これで、
「頼まれた仕事は終えたはずだ」
 そう、納得していない自分にも、無理やり納得させる言葉を吐いて湧き上がる疑問を押さえつけた。
「……そうだよね、多分」
 二人が立ち尽くす間に、次第に周囲の電撃檻が収まっていく。ギミック『鳥かご』には時間制限があった。施設の耐久性と、その後の後片付けのことを考えての仕掛けなのだ。
 だから、敵の確保が長引いた時には、数回のオン操作が必要だった。その為に、ナハトは動くことが出来なかったのだが。
 その場所をナハトは既に動いている。
 電撃が完全に途絶した。その瞬間だった。
「ナハト!」
 ナハトの延髄に男の蹴りが炸裂した。
「ッ!!」
 デュランのかけ声が無ければ危ないところだった。
 ロッドで防御したナハトの向かいで、動けなかったはずの仮面の男が、その瞳の穴の奥から見つめていた。白目のままで!?
 しかも延髄切りの上段蹴りの体勢のはずなのに、なぜか上半身の力が入っておらず、だらんと腕と首が床に向けて垂れ下がったまま下半身だけが動いている。
「!?」
 その首に目を向ける。とたん意識が外せなくなった。白目が、いや、仮面の目の穴が次第に大きくなってくる。その穴にナハトが飲み込まれそうになっていき……、
「ナハト!!」
 肩を掴んで引き戻された。
「……ディー?」
 気がついたら、背中からデュランに両肩をつかまれていた。
「大丈夫か、ナハト!?」
「う、うん。いま、どうなったのさ……。あ、仮面男は……?」
「なんだかよく判らん。いきなり起き上がってお前を攻撃したと思ったら、しばらく両者固まったあと、変な動きでお前に頭突きをしようとしたから追い払ったんだが……覚えてないのか?」
 まるで記憶に無かった。緩慢な動きで頷いたナハトは、ようやくクリアになった意識で頭を振る。
「それで、相手は?」
 じいいっと見つめる。
「逃げた。……すまん」
 ナハトの尖った口元を見て、瞬時に謝る。少年はため息をついて金髪の大男を許した。
「……仕方ないよね。ありがと、ディー。多分、すごく助かった」
 あのままだったら、もしかしたら、取り返しがつかないことになっていたかもしれない。そう思った。理由が分からないまま、ゾッとして肩が震えた。
 そして、同時に。あの時見つめた仮面の目の空洞が、なぜか悲しみに満ちているように感じた。なぜだろう、中の瞳は白目を剥いていたのに。なのに、仮面に感情を感じるなんて。
 拳を握り締めた後、ナハトは両手でパチンと頬を叩いた。そして、
「ナハト?」
 どうした!? という顔のデュランに向かって、宣言した。
「追いかけるよ、ディー」
 真剣な顔をしてナハトは呟いていた。それは、宣言。
 仕事を超えて、ナハトが相手に興味を持ち、関わろうと決めた瞬間だった。




<2009-03-25 06:02:22     tem-mon>
またまたまた遅くなりました。
そして相変わらず、一万字って少ないな(汗)
では、続きはできるだけ近いうちに。
ホテル偏は、これを入れて三話のつもりだったけど、ちょっと膨らんだので、あと3〜4話ありそうです。
宜しくお願いします。



<2009-03-25 18:24:20     karicobo>
アクション、すごいな。私、書けないんですよ、アクション。想像できないというか。運動音痴なので。
しかし、相変わらずいちゃいちゃですね、ナハトとディー。
仮面男のナゾがだんだん明らかに。楽しみだなあ。



<2009-03-26 11:40:02     tem-mon>
ありがとうございます。
そう言ってもらえると嬉しいです。
前向きに考えて、今本編書かなくて良いわけなので、まずはこっちのリレーのホテル偏を終わらせたいと思います。
まずは、全員星に降りてもらわないと始まらないし(苦笑)

次でとある場所で仮面男と、支配人ご一向が戦闘に入ります。
そこに少年少女・ナハトたちが合流、支配人との言い合いから決裂、三つ巴に!
そして、男の目的と正体が判明する!……のがその次の話かな?
そして舞台は、人間の手でテラフォーミングされる最中の星の大地に移ります。
そこからは、打ち合わせしながら交互に宜しくお願いします。
まずは、次回、二週間後に。
自己締め切りだ自己締め切り。




2009-04-07 14:21:42    tem-mon
 《本編・その17:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)6》


 「ねぇ! そっちはもう誰もいない?」
 任された棟の最後の宿泊階の避難誘導も、終盤を迎えていた。今度はイズミも、ケンと共に最終確認に走り回っていた。
「大丈夫! こっちの端までもう誰もいないみたい!」
 これで、全ての階で避難が完了したはずだ。少しだけホッとする。でもだからこそ、確認には余念を残してはならない。仕事とは、完璧にこなしてこそ成功なのであって、どれだけ途中まで完璧でも、ラストにポカやミスをしてしまったが最後、失敗となってしまうものなのだ。
幼いながらも、ケンもイズミもその辺りは実感として肝に刻んで理解していた。伊達に砂漠だらけの星で暮らしてはいない。仕事でのミスは、誰かの「死」そのものに直結する。そういう暮らしをしてきたのだ。そうでなくても、ナハトたちから信用して任されている。最後まで気を抜くわけにはいかない。あの支配人は別にどうでもいいけれど。
 イズミはフワフワの帽子を片手で押さえ、渡された時計を確認する。こじんまりとした背丈で精一杯に胸を張り、真剣に計算し思考を広げ加速する。
「まだ……ちょっとだけ時間があるわね」
 最後のギミックの開始時刻まで、ほんの少しだが、まだ時間があった。移動時間を考えても、まだ10分ほど時間があると判断する。
もう一度だけその辺りの部屋の内部だけでも確認して……そう思って動き出そうとした、その時だった。
「うわぁあぁああ!!」
「ケン!!?」
「なんだよお前ぇ! どけよどけ、どけったら! 手を離せよぉ!!」
 ケンの悲鳴がこだましていた。百メートル近い廊下の向こう、角の先でケンが尻餅をついて叫んでいた。少年の体が角から半分だけこちらに覗いていた。誰かがケンの腕をつかんで放さないでいるようだ。
「……ケンッ!!」
大切な友達である弟分が、壁に突き刺さるような悲鳴を上げて助けを求めて身をよじっていた。瞬時に頭に血が上る。情況の確認も定かでないまま、イズミは飛び跳ねるように、種族特有の足の速さで軽やかに走り出していた。

 強い力で手首を握られたケンは、軽く捻りを加えられ、ピクリとも動かせず体を固定されていた。
 例の仮面の男だった。最初に見たときと服装が少し変わっている気がしたが、雰囲気は残っていたので、油断した。イズミが優しそうと言っていたのも、油断に拍車をかけたかもしれない。
 イズミに返事をした直後その姿を見つけたとき、壁に背をついてうずくまっている男のそばに不用意に近づいてしまった事を、ケンは悔やむ。
 そう、たとえどれだけ本当は優しい性格の持ち主だったとしても、今は「敵」だったのだ。
「ちくしょう……」
 痛い。驚いて無様な悲鳴を上げてしまった。だが、今は痛みで声が上げられない。本格的に痛かった。つかまれた手首の痛みは本物だった。
「どこに、……こんな力が……」
 背が高いだけでどう見ても細腕で、筋肉などありそうも無いように見える手から、万力のような力が発生していた。サイコキネシスで力を添えたなら分からないでもない。けれど、今は普通に筋肉の力だけで握られているように見える。
細腕が、浮き上がった血管とともに膨れていた。次第に相手の腕が目に見えて赤く染まっていくのが分かる。単に力が入っているだけでは無さそうだ。まさか、筋肉が断裂し始めているのか? 限界を超えた力、生命体のリミッターが外れていた。
 しかも、不可思議なのはそれだけでは無かった。
「……あんた、まさか……意、識が……」
 白目だった。仮面の穴の奥の瞳が、血走った白で覆われていた。壁に背をもたれさせ、右の腕だけがこちらに伸びて掴んでいた。握る腕以外、まるで力が入っていなかった。もう片方の腕も、下半身も、ぐったりと力が抜けている。首すらも固定されて無く、ぐにゃりとした背筋のままで微妙に右に傾いていた。
 意識の無い男が、機械的に自らの腕の壊れる力で自分の全てを拘束していた。
「うぐ、ぁあああああああああ……は、離っ」
 ゾッとした。血の気が引いて硬直する。
 かすれた声がのどの奥から漏れる。あまりの痛みに全身の力が抜けていく。
 引き寄せられる。その白目を覆う穴の影に、顔がゆっくりと近づけられる。
「や、め……」
 目が……合った。数センチの距離だった。手首を捕まえられ持ち上げられる。なぜか、目を逸らすことができなかった。ビリッ。腕からの電流が瞼の筋肉を自動でゆっくりこじ開けていた。痛みで半分つぶられた少年の目が、強制的に大きく引き開けられて固定される。
同じ高さで、光の道が仮面の穴そのものと瞳の奥まで同調した。
「……イ、ズ……………」
その名前を最後まで呼ぶ事の無いまま、ケンの全身から力が抜けた。掴まれた腕以外の力が抜けて擬似引力に引かれて下に落ちる。
物理的でない場所で、ポチャリと、聞こえない音が聞こえた気がした。意識が暗黒に飲み込まれ、無意識の泉の底に堕ちていった。




2009-04-07 14:23:51     tem-mon
《本編・その18:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)7》

「ケンを、放してぇぇぇぇぇぇ!!!」
ほとんど同時だった。全速で走ってきたイズミの蹴りが、仮面男の腕の付け根に炸裂した。全身をぶつけるような跳び蹴りでイズミの体もゴロゴロ転がる。
反動で仮面が宙を舞い、ケンの体が投げ出された。
「ケン! ケン!?」
 床に転がったまま呼びかけるが、反応がない。
 仮面の外れた男の顔は、ほとんど特徴のない普通の青年のものでしかなかった。完全に白目を剥いて、気絶していた。
 青年からは、イズミが感じた不可思議な雰囲気が消えていた。だが、イズミは気づかない。それどころではなかった。ケンが倒れているのだ。急いで起き上がってケンの所に走り寄る。
仮面の男とは、確かに友人になれるかもしれないと思った。だがそれは、ケンの無事と引き換えにできるようなものではありはしない。
 完全に気を失って倒れている男を尻目に、イズミはケンの名前を呼び続けた。だが、少年はピクリともしない。涙目になって呼び続ける。何度も何度も名前を呼ぶ。しかし少年は動かない。呼びかけながら脈を取る。けれど自分の呼吸が激しすぎてケンの脈が分からない。
 頭を打っているかもしれない。そう思うと、動かしたくても動かせなかった。自分には今できる事がない。それが実感として全身に染みてゆく。怖かった。何もできない。大事な仲間が失われると思った。何もできない。なんにもできない自分の無能で家族がまた消えてしまう。
 絶叫した。何を叫んでいるのか分からなくなった。ただ、時折大事な弟分で友人の名前が何度も耳に入ってきていた。
 何分が経っただろう、半狂乱になっていつまでも叫び続ける少女の耳に、ようやく自分以外の聞き知った声が届いた。
「イズミ!」
 少女は大粒の涙を流しながら声のする方へ顔を向ける。
「ナハ、トさん、ケンが……ケンがぁ……ナハ……さああああああああん、うわああああああああああっ……っ!」
デュランとナハトが全力で走ってきていた。走りながらイズミの悲痛な泣き顔に眉をひそめて唇をかむ。
首を振った少女の頭から、帽子がずり落ちていた。人間種族のものではない、彼女の種族特有のふわふわした耳が躍り出る。
 その耳を隠しもせず完全に垂れ下げたまま、イズミは、そばにたどり着きひざをついたナハトの胸に飛び込んでいた。泣きじゃくる少女の頭を、耳ごとナハトは乱暴に、しかしゆっくりと静かになでる。何度も何度も、繰り返し撫でる。
 少年の傍らにしゃがみ込んだデュランが、脈を取り瞳を覗きこみ、顔を上げて頷いた。少なくとも、命には別状はなさそうだった。ナハトの全身が安堵に緩む。
「イズミ、大丈夫だよ、大丈夫だ。ケンは無事だ、大丈夫」
「ナハトさ、ん……ケン、が、ケンが!! う……うごか、な……!!」
 頭だけでなく背中まで、撫でる範囲を大きくする。ギュッと抱きしめられてイズミは、何度もしゃくり上げたまま黙りこんだ。
「大丈夫! 生きてる! 大丈夫だから、気を失っているだけだよ、大丈夫だから!」
 強めの口調でなだめながら、
「頑張ったね、ありがとう。ごめんね、怖い事を頼んじゃって、ほんとにゴメン! もう大丈夫だから。ここにいるから。何があっても守るから。ケンも守るから。だから……もう泣かないで、イズミ」
 言い聞かせながら撫でる勢いを次第に静かに緩めていく。優しく耳をなでつけながら、手のひら全体で頭をゆっくり包んでゆく。
「………ひ……く……」
 気づくと、泣き声がわずかに小さくなっていた。
「来るのが遅くなってゴメン。怖いところに二人だけにしてゴメン。ゴメン、ゴメン、ごめんね」
「う、ぅ……ひ……っく」
何度も声を上げようとして、声にならずに少女は頷き続けていた。そして一瞬の間が空いて、
「うぅうううああああああああああああああああああああああああああああああああ……」
 しゃくり上げが止まり、安堵による最大の泣き声が四人だけの無人の廊下に響いていた。

「大丈夫か?」
 後ろから大男の優しい声をかけられて、一人離れて座っていた少女は、背中を向けたまま何度も小さく頷いていた。
 あまりに恥ずかしくて後ろが向けない。
 目も赤く腫れているだろう。パニックになったままの大泣きも聞かれてしまった。気を失っただけの少年を前に、何もできずに泣いたところを一部始終見られてしまった。13歳にもなって、年上の少年の胸で頭を撫でられて泣きじゃくってしまった。耳も見られた。見たからってこの二人が態度を変えるとは思わないが、教える前に見られたのは顔から火が出る思いだった。
 多分、今日の恥ずかしさは一生死ぬまで忘れないだろう。
「……汚点だわ……………うぅぅ」
 それでも、ケンが無事だったのは嬉しかった。
 ナハトたちは恐縮して己を責めているようだが、一緒に仕事をしたいと同行したのは自分たちなのだ。それはちゃんと分かっているし、あの二人を責めるつもりなんてない。
 けど……だけれども……
「今どんな顔して向こうを向けっていうのよぉ……」
 顔が赤い。もうすぐ最後のギミックの開始時刻だ。急いで作動場所まで行かなければいけないのに、体が硬直して動けなかった。どうしよう。
 その時だった。ゆっくりとケンの体が動き出した。事態はイズミのわずかの逡巡すらも許してくれないようだった。
「ケン! 目が覚めたかい!?」
 ナハトの言葉にイズミも急いで体を回す。そして、見た。
 ナハトが「大丈夫?」と勢い込んでそばに寄ろうとしたケンの顔が、倒れた状態のままでこちらを向いたのを。ぐるりんと首だけがこちらに回る。見知った顔が、だけど見えない。
「え?!」
仮面が顔についていた。仮面を被った体が、そのままの体勢でフワリと浮いていきなり消えた。
「なっ!?」「なんだと?!」
 ナハトとデュランは急いで男の体を確認する。青年の体はまだ倒れた場所に存在した。さっきのまま同じ場所で白目を向いて倒れていた。だが、落ちていた場所に仮面だけが見当たらない。
 仮面がいつの間に移動したのか、三人ともまるで気づけなかった。
 血の気の引いた顔を戻す。気づくと、三人と対峙する距離と場所に少年の体が現れていた。
「ひ……っ」「そ、そんな……」「馬鹿な!」
 三人が見守る中、超能力者ではないはずの仮面の少年が数センチだけ床から浮いたまま、こちらを向いた。
 仮面の奥の瞳が白目を向いたままだった。手足が始めて動かしたようにぎこちなくカタカタ動き、両手を前に垂らした幽霊のような構えでピタリと止まり、
『神を恐れよ』
 少年の言葉でそうつぶやいた。
 少女の絶叫がこだました。そして、
「そこまでで結構ですよ」
 鳳 紅雷の涼やかな声が耳に届いた。





2009-04-07 14:28:18   tem-mon
《本編・その19:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)8》

三人がそれぞれ、驚愕の、怒りの、悲痛の顔で後ろを向く。
 声の主の支配人と、初めて顔を見る美女二人が並んで廊下に立っていた。
 笑顔の支配人がパンパンと手を叩きながら前に出る。
「ありがとうございました、皆さん。すばらしい働きでした。臨時報酬は勿論はずませて頂きますよ。」
 糸目の長髪ハンサム男は、現状の事態をまるでそよ風の様に「おや、どうなされましたか? 笑顔はすべての基本ですよ?」とニコニコと笑いながらのたまって、
「あとはこちらにお任せください。あなた方のお仕事はこの時点においてすべて終了致しました」
 ゆっくりと歩きながら、理解不能の言葉でしゃべっていた。
「……終わった、だと……?」
「ええ、その通りです。皆さんにお願いしていた仕事は、最初からこの段階までで終了の予定だったのです。お知らせしなくて申し訳ないとは思っていたのですけれど」
大男のにじみ出るような言葉にもまるで怯まない。三人の睨むような視線を笑顔で流し、支配人は目の前で歩みを止めた。
「お願いした仕事は完遂していただけました。やあ、お見事でした。あなた方を選んだ私の目に狂いは無かった。感激です。では、申し訳ありませんがお引取りを。報酬はフロントに言付けてありますのでお受け取りになられてください。私はちょっとこれから忙しくなりますので、申し訳ありませんがお相手ができそうに……」
「……ねえ、説明してよ」
 男の言葉を少女が遮る。
 ふつふつと止まらぬ怒りが、かすれた言葉に溢れていた。
「説明、とは?」
 鳳 紅雷があごをあげる。視線が上から少女を打った。
「今ご説明差し上げたと思いましたが?」
「そうじゃあないでしょう鳳さん」
 少女をかばう位置に少年がすべるように移動する。そしてナハトの氷の台詞が上から目線の視線の主を貫いた。
「あなたは、あの仮面がどういうものか、知っていたのですか……? そして、分かっていたのですか、こうなることを……」
「……」
「質問に答えてもらおう!!」
 笑顔で返す緑チャイナ服の男に、デュランの怒声も続いた。
 大男は一人、仮面の少年の動きもけん制しながら鳳に怒りの顔を向けていた。
「仕方ありませんねえ……」
 困ったようにため息をついて、鳳は姉妹に言葉を告げた。
「少しだけ、あの仮面の相手をしていてください。けん制だけで良いですよ。すぐに終わらせます」
「御意」「理解」
姉妹の姿が掻き消え、瞬時に少年の両脇に降り立った。超能力ではない、信じられないほど速い超スピードの物理的な動きだった。
 イズミが悲鳴を上げる。姉妹にケンの体が攻撃されると思ったのだろう。だが、なぜかケンの体を持つ仮面は、先ほどからピクリとすら動いてはいなかった。
 デュランも内心目を剥いた。
 歴戦の勇士の彼が、何とか目で追うことのできるギリギリのスピードだった。それも、目で追うことができるだけ。闘うことになったとしても防御すら間に合いそうにない。攻撃を当てるだけで至難の業だろう。すぐに負けはないとしても、勝てる要素が見当たらない。神速としか言えない、人間離れした速さだった。
「それで、どこからご説明差し上げればよろしいでしょうか」
 支配人の態度から礼儀正しさが掻き消えて、慇懃無礼そのものに変わっていた。
 デュランの意識がそちらを向く。
 鳳は左右対称に軽く足を広げ両腕を後ろ手に組み、固定された細い笑い目の下で、左右の口元だけが持ち上がり冷笑を形作った。低く、低音に響く小さな嬌声。
「それが、あなたの本性ですか……!」
「わたしは忙しいのです。聞きたいのはそのことではないでしょう」
 怒りをぶつけるナハトに冷徹な言葉を切り返す。一時間ほど前までの人当たりの良い雰囲気は、もはやそこには存在しない。
「そうそうそう言えば、全部、と言われていましたね先ほど。では、一度しか言いませんからよく聞いていてくださいね」
 そう言って、男は真実を話し出した。それは語り、などという生易しい代物ではなかった。欠片も感情を交えずに飛ばされた音の連なりは、ただ意味を持つだけの音節の塊でしかない。
 コトリとも音の聞こえぬ膠着状態の空間に、人とは思えぬ無機質な声が静かに降り出し始めていた。



<2009-04-08 22:00:01    karicobo>
イズミちゃん、かわいいなあ。本家よりもかわいいなあ。
本家だと巫女っ気が強すぎて、それを日常生活困らないように曾お婆さんの宝珠で半分封印してたりするので、あんまり感情を表に出さないんです。
でも、ここに来てから、慣れない環境でケンに対する依存心が強くなっているようで、かわいい。2人の間の絆が強くなってきたのかも。
しかし、ケンに仮面が取り付いちゃって、どうなるのーーっ。
(単なる読者になっちゃってるなあ……)


<2009-04-09 12:18:31   tem-mon>
読者になっていただけて、嬉しいです(^^)
そしてキャラクターに文句言われなくて良かった(苦笑)
一線を超えて暴走したら、修正かけろとドスをきかせてもらえると助かります。

感情過多にしすぎてしまって、すみません(汗)



2009-04-13 12:39:35    tem-mon
 《本編・その20:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)9》
 
 三人の部外者の前で戯れの余興を始めてしまったボスを見て、琳姉妹の姉、冬緑は内心小さくため息をつく。
 また經理の我儘が始まってしまった。だが、それでも仕事さえ完遂するなら問題はない。仕事途中に座興を入れないと燃えない、という困ったボスではあるが、戯れた後は驚異的な仕事の成功率を誇っている。その際の恍惚とした表情は、実は彼女たちのお気に入りの顔でもある。
「要するに、弩級のSということなのでしょうね」
 なんにせよ、それであの方のやる気に火が入るならそれでいい。自分たちの目の保養になるのはもっといい。
「何か言ったね? 姐姐(ジエジエ、お姉さんの意味)」
 いまだ、新しい体に慣れていない仮面男を牽制しながら、妹の翠緑(ツイリュー)が聞いてきた。
 時折、組み手のように軽やかに、開いた手のひらを踊りのように回転させて仮面少年の攻撃の気配を巧みに見事に逸らせている。相手の攻撃を逸らしながらカウンターを入れる拳法、八卦掌の型通り、見事な合気だ。超攻撃的な自分の技とは優雅さが違っている。性格は逆なのに修めた拳法のタイプがこれだとは、ずいぶんとエスプリが効いている。
 少年の姿の仮面男は、その間もわずかにフラフラ体を揺らしながら重心を移動させ、この状況から逃げきる算段を立てているようにも見える。
 ボスの話では、仮面が新たな体に慣れるまでは、しばらくかかるとの事だった。それまではジャンプも数メートルの短距離しかできないらしい。ニュートン物理的な範囲内ならば、我ら姉妹が獲物に逃げられることなどあり得ない。
 それに、……と冬緑は落ち着いた小さなため息を吐いて、懐の物の表面を指先で軽くなでる。目的のひとつであるこれがある限り、やつはただ逃げる事だけはしないだろう。
 そう、彼女は、あの者を逃げられなくさせる隠し球もひとつ、糸目のボスから借り受けていた。
「なんでもないわ、妹妹(メイメイ)。しばらくのところは、あの仮面が能力で逃げてしまう事はなさそうだから、安心ねって思っただけ。けど、まだ拘束した訳では無いのだから、油断しないで。ボスの気紛れが収まるまで、きっちり足止めしておきましょう」
「殺しては駄目カ?」
「そんなキラキラさせないの。美味しいところはボスのもの。まだお許しがでていない内に箸をつけるものじゃないわ、お行儀の悪い。それに」
 冬緑は今度は誰が見ても分かるくらいの大きなため息をついていた。
「本当は彼ら二人のうち、どちらかに取り付いてもらう予定だったはずなのに。なぜホテル設計者の息子についてしまっているのかしら。厄介ね」
 そう、ナハトとかいう少年か、あの大男に取り付いてくれたなら、殺しても腕をもいでもなんの問題もなかったのだ。なにせ彼らは特別客。ホテルの帳簿にすら存在しない。仮面を弱らせる前哨戦というよりも、ある意味そのための餌の理由の方が比重が大きい。
 だが、取り付いたのは、予定になかった相手だった。しかもVIPの息子。
 ボスは彼らに仕事は見事に完遂したと口にしたが、実は完璧とは程遠い。もしかしたら經理は、座興に紛らせて修正案を思案中なのかもしれない。決してそうは言わないかもしれないが。
「姐姐、なにか厄介なコトあったね?」
「ええ、とても大きな問題よ、これは」
 冬緑は、再度のため息とともに仮面を見、少年の体を眺めてとても残念そうに付け加えた。
「これでは殺すことができそうにないわ」


「あなた方が『仮面男』と呼んでいるあの存在は、実は人間ですらなかったのです」
 ニコニコしたまま、鳳 紅雷はとんでもない事をのたまっていた。
 唖然として質問することすらできないまま、デュランは、横目でナハトとイズミを確認する。二人とも呆然としていた。だが、それでもさっきまでの出来事を認めるとしたら、それを信じざるをえない。そういう微妙な葛藤が、二人とも表情に現れては消えていた。
「……それで?」
 年長者の義務として、腹立ちを抑えて凝り固まった笑顔の男に先を促す。
 促され、なぜか嬉しそうに男は語る。
「彼らの種族は、この真下にある星で発見されました。彼らは別に種族として仮面の形をしている訳ではありません。単に、進化の過程で石の結晶と似た形をとっていたに過ぎません。要するに、SFで頻繁に出演する、『珪素生物』というアレですよ。イメージでいえば、石のゴーレムみたいなものでしょうか。人間を含め我々の知るすべての生物は、『炭素』を核にして生きています。体を作るたんぱく質も、主栄養素のブドウ糖も油分もすべて、基本は炭素の化合物です。その炭素が珪素に置き換わった生き物。それが彼らなのです。つまり、我々が有史以来初めて出会った、本物の『完全異種族異星体』というわけです」
 すごいでしょ? そんな的の外れたしたり顔で得意そうに胸を張る。この男はどこまで人をおちょくれば気が済むと言うのか。
 睨む強さがいや増した三対の視線を糧に、支配人は高らかに謡うように続きを紡ぐ。
「それを旅の名も無き職人が、何も知らぬまま仮面の形に加工して、裏面に砕いた石を貼り付けた。それが、一年前。そこで初めて、文字通り石のように人間と比べて非常に思考速度が緩やかだった『彼』の意識は、我々炭素生物と同じだけの思考速度を得たのです。加速装置を得た、と言ったほうが理解されやすいでしょうか。なにせ彼らの意識上では、一秒が我々の数十年に相当するようでしたのでね。本来なら、意思の疎通など夢また夢だったわけです。残念な事に」
 興味深い話がどんどんと展開されていた。
 特に、少年少女にとっては怒りと同時に恐ろしく興味を惹かれる話なのだろう。睨む瞳に好奇心が見え隠れする。だが、それにしても、解せない。違和感が増してゆく。
「ですが、独りだけ種族時間の枠から外れた彼には可哀想ではありますが、我々にとっては僥倖だった。なぜなら、本来意思など交わしようが無かったはずの種族と、親交が結べる可能性が出てきたからです。だが、彼はパニックに陥ったのか、自己憐憫なのか、それ以外の理由なのかは分かりませんが、その場所から逃げ出した。そして、元々の能力が増幅されたものなのか、それとも加工されたことで発現したのかは不明ですが。強力な超能力と、そして皮膚神経を通して神経パルスを操る力を駆使し、人間の体を操ってほぼ一年間逃げ続けている、というわけです」
 一気に話し過ぎたせいだろう、ふう、と一息ついたところで、デュランの鋭い質問が怒涛のごとく浴びせられた。
「あの生物がどういうものかは理解した。その重要性もな。大発見だ。すばらしい出来事だ。後世のすべての教科書に確実に載るだろう歴史と科学の大転換だ。だが、ならばなぜ、このような回りくどいことをする? この発見は、広くあまねく公表して初めて、意味を持つものだ。発見を独り占めにするいかなる理由も存在しない。なぜなら、現在意思疎通ができるのがあの、……性別があるのかどうかも知らないが『彼』一人だけだというのなら、それは人類全体にとってのみ意味があるはずだからだ。
そう、『彼』と彼の種族と第一種遭遇した。それだけのことならな」
 言葉を止めてじろりと睨む。
「そうかもしれませんねえ」
糸目の支配人は、悠然とニコニコしたまま先を促した。
「お前たちが何を考えているかは知らん。だが、人間が『独占する』ということの意味は有史以来ただ一つだけだ。……それが独占する者にとって何らかの利益をもたらすから。それ以外のいかなる理由も存在しない。どの様な利益なのか、それはまだ分からんがな」
 パチパチパチ!! 威勢のよい拍手が鳳 紅雷の両の手のひらから広がった。
「素晴らしい」
 その揶揄にこめかみを揺らしながらも、
「それは肯定、という意味にとって良いということか」
 その為に、すべてを秘密裏に進行させ、闇に葬ろうということか。自身の利益のためだけに。
 だったら決して許しはしない。人類と、『彼』らに代わって絶対にな。
デュランのほとばしる怒りの言葉が放たれた。
「ディー……」
 ナハトの信頼の瞳が怒りのデュランを仰ぎ見た。そうだ、これだ。あの時、この雄々しく優しい正しさにこそ自分は、絶対の信頼を置いたのだ。ひどく涙もろいくせに、決して曲がらず揺るがない信念を持つ、このデュランという名の大男に。
 ナハトも決意の表情で支配人へと振り返る。
「デュランさん……」
 小さいイズミは流れそうになる涙を懸命にこらえ、先ほどの大男の言葉を思い返していた。
 いわく、『彼』と彼らの種族のために。
 泣きそうだった。本当に。それが嘘ではないことが、テレパスである自分には痛いほど分かるからだ。
 自分たちの種族は『彼』らほど常識離れした存在ではない。だが、それでも虐げられないまでも、支配され、差別されたことがあった。
 ほんの少し違うだけで、多くの人間は様々な種族を区別し差別する。
 どのような種族だとしても、心は同じだけそこにあるというのにだ。
 だから、自分は心を殺していた。種族の巫女として能面のように、誰と対峙するときでも感情を極力排除してきた。失う怖さを味わいたくなかったからだ。
 最近は、人間でもいい人たちがいる事を知り、教授やケンをはじめ、家族と呼べる存在も増えた。
 けれど、どうしても相容れない、そういう者もいることも知っていた。
『彼』の境遇を知った瞬間、浮かんだ思いは「可哀想」だった。それ以外ありはしなかった。彼にはこの先、不幸しかない。そう思った。
 けれど、この人は違った。この人たちは違っていた。
 怒ってくれた。怒りをほとばしらせてくれた。何とかしようとしてくれた。
 最初に出会った時に感じた、気持ちの良い草原のような、暖かい陽だまりのような感じは、間違いじゃなかったんだ。
 イズミは『彼』に操られた弟分を見るために振り返った。
 そして心に留めた。
 必ず助ける。そう誓った。もちろん二人とも共にだ。

 三人の決意の表情を見て、仮面のような笑顔の男は本当の意味でニッコリと相好を崩した。
「それは、こちらと敵対する、という風にとって宜しいでしょうか?」
 心底嬉しそうにそう告げる。
「もちろん、VIPの息子さんを傷つけるのは極力避けておきたいとは思っています、しかし、確約する事はできません。なぜなら、デュランさんが仰ったとおり、この件には、あなた方が想像することすらできないだろう、莫大で膨大な利益と利権が絡んできておりますのでね」
「その先の詳しい話も、もしかして聞かせてくれるのか?」
 デュランが返事の分かりきっている最後の質問を放ち、その答えの直後だった。
「申し訳ありません、今回の件の報酬はこれで打ち止めです。そしてあなた方に対する処遇に関してなのですが……」
 ボウッ!!
 目には見えない恐ろしい気配と圧力が、先ほどまで支配人だった男の体から放出されていた。
「クッ」「なっ」「きゃあ!」
 闘気の見えないイズミですらも、無意識に半歩後ずさり汗を流した。
 背中に少女をかばう位置に、ナハトがすぐさま移動する。
「困りましたねえ、ええ、実に困りました」
 その風のようにつぶやいて、暴風の気配が一歩足を踏み出した。
「あなた方は知りすぎてしまった。いけませんねえ、知らなくても良い事を知りたがるからいけないんですよ?」
 自分から嬉々として喋りだしたはずの男は、さも当然のようにその言葉を口にした。
「ああ……このいかにもな悪役の台詞、一度言ってみたかったんですよね私」
 クスクスクス。
 笑顔の悪意が迫っていた。
 笑顔の悪意が数十歩先の姉妹へと声を上げた。
「時間稼ぎ、感謝します。もう、我慢しなくていいですよ?」

 その言葉とともに、密度濃い大気の渦巻く閉鎖空間に、同時に幾つもの鋭い風が流れ過ぎた。



<2009-04-13 12:41:22    tem-mon>
お、長いのが上手く一つに収まった。

注)なお、このリレー小説では、デュランは本編よりもちょっとだけ、頭が良い仕様になっております(笑)




2009-04-16 10:06:35   tem-mon
 《本編・その21:In the innocent labyrinth(その無邪気なる迷宮で)10》


 ケンは薄い膜のような靄(もや)に包まれて、スクリーンやガラスを隔てたような視界ごしにその光景を眺めていた。自分のものでありながら自分のものでない視界は、体と同じくまったく自由に動かせない。
 本体である体とのリンクが切られ、ケンの精神だけが内側に固まるように囚われていた。手足に枷が、周囲には鉄の檻が彼をそこに拘束する。イメージだ、ただのイメージに過ぎない。だが、この意識だけの世界ではそれがすべての源だった。
『ナハトさん、デュランさん、……イズミ……』
 自分の体が自分とは思えない素早い動きで闘っているその向こうで、三人も、初め優しそうに見えた支配人と闘っていた。苦戦中だ。恐ろしく複雑な動きをする攻撃だった。だが相手も強いがたぶん、全員本来の動きではないのだろう。こちらを気にして全力を出せていないような風に見える。
 それに気付いて愕然とした。
 まさに自分のせいではないか。自分のせいで、大切な人たちが危険な状態に陥っていた。
 ゴメンと何度も謝り続ける。
 ケンがこの様な状態でなければ、あの三人なら逃げ出すくらいならできたはずだ。自分がドジを踏んだのがいけないのだ。これはすべて完全に自分のミスなのだから、責めてくれて良いはずだった。見捨ててくれて良いはずだった。なのに、彼らは誰一人そう思っていないように心配そうな顔をしてくれていた。
 今は、不利だ。まずは自分を置いて逃げてほしかった。後から助けに来てくれればいいから、どれだけ時間がかかろうとも、自分は絶対に疑ったりしないから。
 だが三人とも、まるで逃げる気配を現しすらもしなかった。イズミからの「ぜったいに助けるから」というテレパシーもちゃんとケンにも届いていた。嬉しかった、だが同時に後悔と絶望に飲み込まれそうになる。自分が仮面に囚われたせいで……
『くそ……このままじゃ堂々巡りじゃんか。俺にできることは何かないの……?』
 こちらの声は届かない。
 だがせめて何かしたかった。何でもいいから役に立つことがしたかった。
 ただの足手まといにだけはなりたくなんてなかったから。
 そして思い出す。
 さっきの支配人の言葉は聞いていた。つまり自分は今、仮面型の異性人の中に囚われている。ならばここは、ただの檻ではなく仮面の心の中のはず。すぐそばに仮面の精神もいるはずだ。人間とはかなり違った形の精神をしているかもしれないけど、でももしそいつを何とかできさえすれば……!
 説得できるのが一番いいんだろうけど、できるかな、難しいな。
 でもイズミは二人とも助けると言っていた。仮面のことも何とか助けてあげたいのだろう。事実、支配人の言葉を信じるならば、この彼は真の孤独に身を置いていることになる。ならば。
『優しいイズミ、君が俺のために怒ってくれるっていうんなら、俺は俺にできることを常にしなくちゃね。いまが、もしかしたら説得できる最大の好機なのかもしれないし。俺の力は弱いけど、でも今なら役に立てそうな気がするんだ。彼の心を探して、まずは話し合ってみてみるよ』
 自分に特殊な力があることを、支配人側は知らない。ならばそれがプラスに働いてくれさえすれば、きっと打開の糸口になるはずだ。
 手足を縛っている枷(かせ)に向かって静かに精神統一し、そんなものは「無い」のだと意識する。強く強く意識を集中し絞り込み、細くし補足し捕捉する。
 静かに静かに高めてゆく。小さい頃から本と植物に慣れ親しんできている自分。ならば自分以上に思い込みを操れる人間なんているものか。
『消えろ!』
 ぶつけられた手足の枷が次第に霧散し消滅する。
 そうだ、できる。自分は何ものにも縛られてなどいはしない。鉄の檻も同様だ。そんなものはここには無い。
 思い込みがすべて支配する、それが精神の内側の闘いだった。それにまずは勝利する。ハイスピードの人間世界に生まれて一年やそこらの子供ような精神などに、思い込みの深さと強さで遅れをとってなるものか。
 ケンは植物と心を通わせる自らのエンパシー(動物間のテレパシーとは違う、静かな能力)能力を開放し、放つ。熱を感知する植物のイメージ。
『ちょっとだけ、力を借りるよ、みんな』
 植物が太陽の熱の方向に伸びゆく力、太陽光感知の力を意識し、開き、探索の枝を伸ばしてゆく。
 今、仮面の精神は、ケンの体を使って闘っている。つまりは最高に忙しい状態のはず。
ならば、一番精神的に熱い場所を目指していけば、彼はそこに居るはずだった。
 精神を惑わす迷いの森のような靄の中を、前だけを見据え、ケンはゆっくりと力強く進んでいった。
 
「ふふ、楽しいですねえ」
 暴風のごとく残像が幾つも残る体捌きで、鳳 紅雷はナハトたちに向けて攻撃を続けていた。こぶし、つま先、甲、手のひら、足の裏、肩、ひじ、ひざ、踵(かかと)に背中、手首と額にいたるまで。全身のすべてを使い、淀みなくリズムに乗せて攻撃する。いや、リズムはあるはずだ。あるはずなのにナハトたちには掴めない。中華服のすそをひらめかし、変拍子を挟んでランダムに変化させてリズムを崩して虚をついてくる。
 両腕を大きく開きながら上下左右に複雑に回転させ、実際の攻撃以外にフェイントもたまに混ぜ、腕だけでなくステップや攻撃のすべてにおいて空中に円を描きながら重力と遠心力を加味した力で攻撃してくる!
 ダン!!!!!
 信じられない地響きのような音をさせ、超硬化セラミックの床を踏み込みの『震脚』でめり込ませながら、その全ての力が一片の減衰も無くこちらの体に捻れを加えて到達する!
「ぐうぅっ!!」
 両腕の背で受けたデュランの巨体が数メートルも飛ばされた。なんという威力。倍以上体格の違う者同士の攻防とは到底思えない出来事だ。
 ダン! 美しく型どおりのダンスのように静止する。そして、またも流れるように動き出す。
 鞭のようにしなり、棍棒のように勢いよく、野生の動物の動きのようにしなやかに全ての攻撃がコンマたりとも淀みない。筋肉に緊張や余分な力が存在しない。
 どこまでも自由でどこまでも恐ろしい、まったく欠片も躊躇の無い攻撃だった。
「くっ!」「速くはない、それほどの速度では無いはずなのに!」
 武器が無いとはいえ、ナハトとデュランが二人がかりで防がなければいけないほどの変幻自在の攻撃の羅列だった。意識していないタイミングで意識していない方向から、意識してない部分を使い防御をかいくぐってくる攻撃に、二人とも面食らい防戦一方で阻まれていた。
「これが、よく言う『中華拳法』というやつなのか……厄介な!」
「どうしました? 庇ってばかりいては、到底わたしに攻撃することなどできませんよ!?」
「ぐぁッ!」「あぁっ!」
 少女に迫る攻撃を二人がかりで庇って止める。ナハトは二の腕、デュランは背中を打たれていた。コブシを握り込まず、力の入らない構えから打ち出されるどう見ても威力がありそうも無いそれは、鞭のように蛇のように、しなりながら両側から円の動きで二人の関節や筋肉の継ぎ目を目指して狙い打つ。普通の打撃のはずなのに打点が極端に狭いそれは、まるで針のように、打たれたら痺れる箇所だけを先ほどから執拗に打ち続けていた。
「こんなものなのですか? こんなことなら、あなた方の愛用の武器を取り上げたりしないでおいた方が良かったですかね。さすがに危ないと思ってドサクサに紛れて宙港で取り上げて処分させたのですけれど。こうも歯応えが無いと、少々拍子抜け致しますねえ」
 武器を勝手に処分された!? その言葉に二人とも腹が煮えくり返る。が、さしもの二人も体に変な痺れが増えていき、しだいに思うように動かせなくなってきてしまい、どうにも攻めあぐんでいた。
「……ゴメンなさい、わたしのせいで……!」
 イズミがまた泣きそうになる。普段冷静な分、いったん感情があふれると持て余してしまいどうしようもなくなるようだ。
「何がだ? 謝られるようなことなど俺は何もされてないぞ」
「ごめんね、怖い思いをさせてしまって。大丈夫、安心して見ててね。絶対に守るし、助けるからさ」
 どこまで優しいんだこの人たちは。満身創痍で笑顔を返す二人の男に、イズミはもはや憧憬の眼差しを向けることしかできなかった。
「お喋りする余裕がまだお有りのようですね」
 では、速度と変拍子の数を倍にして差し上げましょう。その言葉どおり、支配人の攻撃がもはや分身に近い残像を増やし二人に迫る!
 数十歩離れた向こうでは、ケンの体を使った仮面が、二人の美しく残忍な手練を相手に奮闘していた。
「ケン……、くそ……なんとか、なんとかここをやり過ごして仮面の呪縛を解かないと……」
 焦りが判断を狂わせる、その寸前の出来事だった。
狢臂翩廖△っとケンなら自分で何とかするわ
「なに!?」
 いきなり頭に聞こえた声に、デュランは小さく声を上げる。
狎爾砲論簑仆个気覆い如
 テレパシー! イズミが心を飛ばしてきたのだと二人は気付き、攻撃を受け流しながら心だけで言葉を作る。
燹帖弔垢泙覆ぁ△弔ざ辰い討靴泙辰拭それで、なんだって?
 攻撃をいなして心で答える。その自分にしか分からないはずの言葉に、心の言葉で返事が返る。恐ろしく便利だ。かなり疲れるらしいから多用はできないのだろうけど。
犲造聾世辰討覆ったけど、ケンにも特殊な力があるの
爐覆鵑世辰董?
爐修譴蓮君のテレパスと同じ力なのかい?
爐ΔΔ鵝▲謄譽僖垢忙てるけど、すごく小さくて、弱い力なの。私たちのように、意識や言葉を飛ばすことはできないわ。ESPですらない。もちろんPKみたいな物理的に作用する力でも無いわ。でも、大事なときにはとっても役に立つ能力。優しさの究極とすら言える圧倒的な共感能力。エンパシーと呼ばれているわ
爛┘鵐僖掘次帖牒
爐修譴呂匹鵑蔑蓮
 速度が増した攻撃を捌くのが難しく、返事がとても単調になってきた。
爐瓦瓩鵑覆気ぁ△發少しで説明し終わるから、負けないで! 元々は植物と心を交わすだけの力だったの。とても弱い力。触った手のひらや額から相手の感情に働きかけることがせいぜいだったわ。テレパシーのように動物間で『会話』はできない。物を触って、そのものに宿る記憶を読み取るサイコメトリとも違う。植物の感情に同調することができるだけの限定の力。普段の生活ではあまり役に立たなかった力なの
燹帖牒
爐韻鼻∈は違う。違うと思うわ。鉱物結晶の生命体なら、植物の心に近いんだと思うもの。だから、きっと力が届く。感情が届く。それに気付けばきっとケンは自分で立ち上がる。力をコントロールして、きっと体を取り戻すわ。ケンはそういうやつだもの!もしかしたら、あの仮面さんを説得すらしてくれるかもしれない。だってケンは優しいから……だから、二人も負けないで! お願い……きっとケンは自力で体を取り戻すから、だから、……信じて! それまで何とか持ち堪えて欲しいの! お願い……!
 その必死の願いに、何十度目かの攻撃を捌いた男二人は瞬時に顔を見合わせて頷いた。
狄じているんだね? イズミ
爐Δ鵝
爐覆蕁▲レたちも信じなきゃね
爐Δ燹∧かった。それまで持ち堪えれば良いんだな? 倒さなくても良いならば何とかなる
爐△蠅とう……ありがとうケンを信じてくれて……
 心の会話が終了し、安堵の温度が流れ出た。だが戦闘の攻防はまだ続く。

 その頃、ケンの心の短い旅も静かに終わりを迎えていた。
 目当ての心をケンは捉えた。




<2009-04-20 16:57:57    karicobo>
支配人、楽しそうだなあ。美人中華姉妹も、楽しそうだなあ。
こういうクセもの、大好きです。

ケンちゃんも戦うぞ。
ちゃんとイズミを支えるんだ、ケン。男を見せろ!

獣人としてのイズミたちが受けた迫害は、本編にはあまり出てきませんが、『狼男』『狐憑き』『犬神』といった伝説に残っている形で差別を受け続けていたようです。

本編に出てくる銀河連邦には、獣人や昆虫、鳥の形態で連邦に加盟して力を得ている星もあるのですが、イズミたちイドリアンは文字も持たず素朴な生活を続けてきたので、国際競争力がありません。
ジンが盾となって、イドラをサンクチュアリと認定して開発から保護されるよう活動しているわけです。

このリレー小説の世界でも、おそらく惑星保護の思想は発達していると思われるので、そういう形で、仮面くんを助けて共存する未来もあるはず。

みんなで生き延びよう。君といる未来のために。


<2009-04-22 10:22:10    tem-mon>
ケンがあまりに活躍しきれてなかったので、反省して、ちょっと活躍させようと思います。
優しいケンがどういう言葉をかけるのか。
期待していてくださいね(自分で追い込むなよ)


<2009-05-11 11:43:48    tem-mon>
ちょっとすみません。
次回、週明けは無理でした。
なんとか月末までにホテル編だけは書いちゃいたいです(^^;)

 

2009.07.28.Tue 00:48 | リレー小説
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2015.05.26.Tue | -

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