メイキング情報 + クリエイター・モードのつぶやき。
感想、随時受け付け。コメントは「足跡帳」へどうぞ。
「神隠しの惑星」サイトは
http://yachibouz.jougennotuki.com/index.html
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています


2015.05.26.Tue | -
サクヤさんと私(その1)
JUGEMテーマ:自作小説
 
小説を書いている人間は、誰でも特に思い入れの強いキャラがいると思う。
登場人物はみな私の人格のある部分を強調して作っているので、みな”もうひとりの自分”だ。
でもサクヤはどういうわけか、別格だ。



 サクヤの絵を最初に描いたのは14になる夏だったと思う。
その顔は今でもほとんど変わりがない。さらさらとした黒髪。切れ長の目。長身で身体能力が高い。端整だが、あまり目立たず”美人”と認識されない抑えたたたずまい。

団体球技では自分で得点を取りに行くわけではないが、サクヤが混ざるとなぜかボールの連携がうまくいく。無言でボールの流れを指示して、うまくつなぐ場所にいつの間にか立っている。

当時の自分とは正反対の、ある意味、理想の少女像だ。
私は球技が苦手で、いつもどこにいていいかわからず、コートの中でおたおたするばかりだった。
もちろん端整な美人などではないし、チビでぽっちゃり。メガネをかけた鬱陶しい風貌。

でも一方で、サクヤは誰とも共有できない孤独を抱えていた。
なぜか同じ夢を繰り返しみる。まるで記憶のような鮮明な夢だ。友人の中にいながら、ひとりでここではない遠い風景に心をはせている。

その世界は滅亡に瀕していて、今もその生き残りが生きる場所を求めて彷徨っている。私のように。
自分はもうない惑星の末裔。時間を越えて、その星の記憶が私の中によみがえった。

そして、記憶がよみがえったことに、その星の住人の能力が私の中に潜んでいるのには、何か意味がある。もうない星の亡霊はまだ安心していない。
私には使命がある。誰にも言えない秘密の使命。もうない星を守るために私は旅に出なくてはならない。

たったひとりで旅立つ覚悟をしていたサクヤの前に、同じ記憶を共有する仲間が現れる。
一緒に旅するうちに、次第に”星の使命”が何なのか理解していく。


14歳で教室にも家にも居場所がなく、できるだけ目立たないように身体を縮めて生き延びていた私は、ずっとそんな物語を作っていた。

いつか自分を理解してくれる仲間が現れて一緒に旅に行く。
だからその日のために、どうにか生きていこう。


その後、高校になって日渡早紀さんの『ボクの地球を守って』が出たときは驚いた。
私の妄想をわかりやすく形にしてくれた。”星の使命”が具体的に物語になっている。

夢見がちな子供は、みんなこういう秘密の物語を持っていて、まだ見ぬ仲間を待っているのかもしれない。

そんなわけで、以来ウン十年、私はサクヤと一緒に旅をしている。
『神隠しの惑星』はそんなサクヤに安住の地を与えるための物語なのである。
その終着ときたら。

自分でもあきれるけれど、何千年も銀河を旅して来て何を求めてきたかというと、その”幸せ”の形はディズニーアニメと変わりない。

”いつか自分だけを愛してくれる相手と巡り合って、笑い声の絶えない家庭を作って子供を育てる”

人間の妄想なんて、そんなもの。
ウン十年経っても、私はそのありふれた夢を実現できていないから、相変わらずサクヤは私の理想なのかもしれない。






2010.08.18.Wed 10:45 | 傾向と対策
スポンサーサイト

2015.05.26.Tue | -

(C) 2017 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.