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2015.05.26.Tue | -
1.胎動 [もうひとつの歌]
どくん

 私は赤い丸い部屋にいた。丸くなって浮いていた。

どくん

 ここは薄暗くてぼんやり赤い。私はずっとうとうとしていた。







“もうすぐ会えるから”

 その声は言う。

“だから今はお眠り。何も考えずに”

 でも、考えなくちゃ。ここはどこ。ダディは一緒に来ているの? 何も見えない。何も感じられない。

どくん

 私は身じろぎする。ずっと何も食べてない。でも不思議とお腹はすいていない。ただ、うとうとと眠いだけだ。

どくんどくん

 私はもがいた。眠りたくない。忘れたくない。
 本当は私は知っているのだ。この赤い小さな部屋のすぐ外には真っ暗な空間が広がっていること。守ってくれる大気がない冷たい世界。外に出た途端、干からびて、あるいは放射線に曝されて、私はあっという間に死んでしまう。

どくんどくん。

“しーっ。大丈夫。ちゃんと会える。ちゃんと守ってる。待っているから。だから安心してお眠り“

 いろんな声が聞こえる。代わる代わる私に話しかけているみたい。でもダディの声は聞こえない。会ったことのない人の言葉なんか信じられない。
 
“信じてくれ。君のことを見守って来た。もっと早く助けれられればよかった。すまない。でももう君をみつけた。もう見失わない”

どくん

 今はまだ外に出ることができない。今は丸まっているしかない。ひとりで。自分の胸の鼓動を聴きながら。

 今はまだ。

 この赤い部屋を出たとき、何が待っているのか、今はまだ考えたくない。私に呼び掛ける声たちを、信じようと信じまいと。他に選択肢などない。

 その時が来たら、私は直面しないわけにいかないのだから。信じようと信じまいと。
 
 他に選択肢などない。だから今は、自分で自分を抱きしめて漂っているしかない。

 だってもう、ダディもグランマもいないのだから。




 
2011.06.01.Wed 15:50 | [もうひとつの歌]
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2015.05.26.Tue | -

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